行政職員がブレイクスルーするために(4/5)2018.02.26

これまで3回にわたって行政職員の方の考え方には以下の5つの傾向があると書きました。
(1回目記事はこちら 2回目記事はこちら 3回目記事はこちら

【行政職員の方の考え方の傾向】
①人に聞くよりも、つい自分の頭で考えようとしてしまう
②決まった枠組みから外れようとしない
③『ちょっと違う』とうすうす気づいているのに、過去の経緯等にこだわってそのまま進めようとしてしまう
④予算があるとその金額ありきで逆算して使い切る事を考える
⑤チャレンジよりも失敗を避ける方を選びがち

今回は「④予算があるとその金額ありきで逆算して使い切る事を考える」について書いてみたいと思います。

 

④予算があるとその金額ありきで逆算して使い切る事を考える

自分が物を買う時に同じものがあって値段が違う場合、商品以外の要素も全く同じ条件(販売している場所の家からの距離や販売する人との人間関係や国産か外国産かなど)だったとしたら、安い方を買う人がほとんどだと思います。

個人事業主や民間企業の経営者は、いかに費用をおさえて最大限の成果につなげるかという事が重要で、一緒に仕事をするスタッフやビジネスパートナーに対してもそういう観点で評価をします。

ですが、行政の仕組みはそうなっていません。
逆に、市町村などは国や県から大きな予算を引っ張ってきて事業をしたらそれが評価につながります。そして、大きな予算を取るためにはそれだけの予算がかかる事をしなければならず、同じ結果がもたらされるのであれば、上限として定められた金額いっぱい使った方が得だという心理が働きます。
なので、年度末になって予算がまだ余っているとその使い道を探します。

偉そうにこんなことを書いている私も、補助金を使う際にそのような思考回路になって、使えるんだからとにかく使わないと損だという気持ちになって今思えば無駄な使い方をした事もあります。ですので、行政職員の方が予算額から逆算して使い切りたくなる気持ちもとてもよくわかります。
ですが、補助金が予算満額使う事ありきになってしまうと、お金はもらえますが、お金をもらうために本当はやらなくてもいい事をやる羽目になります。補助金の性質上、お金は使ってから実際に使った額が入ってくるので、お金をもらうと言っても結局手元には残りません(問題になる議員のように裏金を作ったり、架空の領収書を作るなど違法な事をすれば別かもしれませんが)。
ですが、お金をもらうために取り組む活動に費やす時間に対しては、基本的に人件費は出ませんし、出たとしても時給は高く設定できません。
また、補助金の申請と報告に係る事務についても人件費は出ません。
つまり、お金をもらっていると言っても、実はあまり割に合わないという事に気づきました。逆にその時間を本当に意味のある活動できちんと自主財源を確保できるような取り組みに使った方が良いと思うわけです。

本当にやろうとしている事があって、そのために補助金を上手く活用するのであれば、それは意味のある補助金と言えますが、予算が残っているから使い切るために使われる補助金は無意味どころかかえってマイナスの方が大きいのではないでしょうか?
行政の予算も同じで、予算があるから使うという場合、実際に使われたお金と合わせて、そこに費やした行政職員の時間を人件費として換算した場合、相当な無駄が発生していると考えられます。

では、何故予算を使い切るという発想になるのでしょうか?
それは、ある決められた事業の予算は年度を繰り越すことが出来ないという決まりがあり、予算を余らせると翌年度は予算を削られるようになっているからで、ここに「使わなければ損」という心理が働くからだと感じています。決して行政職員一人一人の意識の問題というよりは、どちらかというと仕組み・ルールの問題だと思います。

国の財政は赤字で増税しないとやっていけないと言われており、年金の受給年齢もどんどん引きあがっているような状況なのに、年度またぐとを繰り越せないからといって意味のない事にお金と行政職員の労力が使われているという事は、逆に考えるとこの部分の仕組み・ルールを変える事で現状を大きく改善できる可能性があると思います。そんなの無理だという風に感じるかもしれませんが、そういう人は②決まった枠組みから外れようとしないの記事を是非読んで頂き、ブレイクスルーする人が増える事で組織を変える事まで挑戦してほしいというのが、いち納税者としての私の気持ちです。

行政が民間企業のように、出来るだけ低コストで行政サービスの質を高めた人が評価され、得をするという仕組み・ルールになっていたらこの点は変える事が出来るのではないかと思います。これが行き過ぎると必要な予算を削って地域の人が困るという別の問題が発生するかもしれないですが、必要なところにはしっかりと予算を配分した上で、普通にやっていて予算が余りそうな時には次年度以降に繰り越す事が出来るようにし、無駄遣いしない方が評価されるというレベルで実施するのであれば問題はないと思います。

余った予算は次年度に繰り越したり、赤字の補てんに回す事で限られた税収の中で最大の効果を発揮する事が評価されるような仕組みになれば、この辺の問題も変わってくるのではないでしょうか?
また、財源を増やすという観点も重要だと思います。

新潟県では中越震災復興基金という基金があります。これは、新潟県が県債を発行して用意した3000億円を地銀3行に預けた運用益600億円を財源として当初は10年間という予定で震災復興基金事業として補助のメニューを作ってきました。この震災復興基金のメニューは使い勝手がよく、私の住む池谷集落でも効果的に活用できました。そして10年以上経った今もまだ財源が残っており、引き続き活用されていますので、私の目から見ると想定よりも財源が増えたと感じるのですが、このように国からの予算を引っ張るという考え方以外に自分たちで自主的に財源を作る事も評価の対象に入れるべきだと思います(既にそうなっているかもしれませんが)。自主財源だと使い方の自由度も高まります。
民間企業では売上を上げた人が評価されるのは当たり前の事として行われています。
これと同じ考え方で自治体が自主財源を獲得するという事も評価の対象に入れても良いのではないかと思います。

予算があるとその金額ありきで逆算して使い切る事を考えるという観点からブレイクスルーするためには、年度をまたいで繰り越せないというところを変えて、年度をまたいで繰り越しても良いので、出来るだけ予算をかけないで住民にとって良いサービスを提供した人が評価され、自主財源を増やす事が出来た人が評価されるような人事評価制度を行政に導入する方が効果的だと感じます。

 

私は福井県の鯖江市で試験導入された人事評価制度の構築・運用支援を行っている会社認定コンサルタントでもあるので、その方面にご関心がある方は以下のフォームからご連絡頂ければご相談に乗る事も出来ますので是非ご連絡頂ければと思います。

本記事をご覧になってどのようにお感じになられましたでしょうか?
ご意見やお問合せがある方は是非下記のフォームからご連絡頂ければと思います。

 

次回は「⑤チャレンジよりも失敗を避ける方を選びがち」について書いてみたいと思います。

 

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